

USDTは価格が米国のドルに連動しているステーブルコインです。
ドルは法定通貨で、しかも主軸通貨とあって価格変動幅が小さく、資産価値の一定化や仮想通貨取引をスムーズに行うための通貨として利用されます。
しかし、USDTを発行する上で問題視されている側面もあるのです。本記事では購入方法や問題視されている側面も解説していきます。
- USDTは時価総額トップのステーブルコイン
- 発行するTether Limited社が提訴された問題がある。
- USDTの安全性が増すアップグレードが多く、将来性が明るい。
もくじ(タップでジャンプ)
USDT(USDTether/テザー)とはどんな仮想通貨?特徴を解説
通貨名 | Tether(テザー) |
シンボル | USDT |
注目度 |
|
取扱取引所 | Binance、Bybitなど |
時価総額(2022年5月12日時点) | ¥10,452,693,241,406.32 |
公式HP | https://tether.to/en/ |
USDTはステーブルコインの中でも時価総額がトップで、仮想通貨取引を行う中級者以上の方は高い確率で保有している仮想通貨です。
- 米ドルと連動しているペッグ通貨である
- 価格が変動しにくいステーブルコインなので大暴落の恐れが極めて低い
- 多くの取引所で取引される基準通貨で需要が高い
- インパーマネントロスの確率を下げることができる
- 不正や破綻によるカウンターパーティー・リスクが高い
1つずつ解説していきます。
米ドルと連動しているペッグ通貨である
ステーブルコインには通貨を担保にしたり無担保にしたり、さまざまな種類がありますが、USDTは米ドルを担保にしているステーブルコインです。
「法定通貨担保型」と呼ばれ、米ドルのような価格が安定している通貨と価格をペッグさせることで価格の安全性を保っています。
2022年5月時点ではUSDTの担保が約83%米ドルとなっていますが、そのうちの約4割が無担保手形等なので、不安視される側面もあります。
参考:https://tether.to/en/transparency/#reports

価格が変動しにくいステーブルコインなので大暴落の恐れが極めて低い
そもそもステーブルコインとは既存金融システムに依存しないので国境を超えて流動性を確保でき、多くの取引所に上場しているため基本的には大暴落の恐れが極めて低いです。
ただ、TerraのUSTのようなアルゴリズム型(通貨の需給によって価格を保つ)は大口投資家の流出が入るとペッグが外れる恐れがあり、実際に外れている過去もあります。
その点、法定通貨を担保にするUSDTはアルゴリズム型に比べて安全性が高いです。
参考:https://www.coindeskjapan.com/148293/
多くの取引所で取引される基準通貨で需要が高い
USDTはBinanceやBybitなど、世界的な大手取引所を始め、多くの取引所で取引される通貨なので需要が高いです。
ドルに担保されていることから法定通貨の代替となり、仮想通貨の取引をUSDTメインで進められるようになります。
USDTメインになると、かつて法定通貨が果たしていた役割(取引上の手続き)を短縮できるメリットがあります。
インパーマネントロスの確率を下げることができる
インパーマネントロスとは、イールドファーミング(通貨をDEXなどに預けること)を行った際に、仮想通貨の価格変動で預け入れた通貨の価格が変動し、バランス調整されてしまって損失が発生する減少を指します。
例えばDEXに2種類の通貨を預けた場合、どちらかの価格が変動すると預けた通貨の価格比率が1:1を保てなくなり、DEXのAMMという機能が1:1にバランス調整をするため、損失が発生し、預けるより保有していた方が利益を見込めた状態になるのです。
しかし、USDTなら価格変動がほぼ起きないので、インパーマネントロスのリスクを防げます。
不正や破綻によるカウンターパーティー・リスクが高い
USDTはTether Limited社が発行しており、いわゆる中央集権的な管理がされています。
そのため、Tether Limited社が何か不正をした際、USDTに及ぼす影響は大きいと言えるでしょう。
実際、Tether Limited社は何度かUSDTに対して疑惑を持たれ、提訴された過去もありました。
もしも不正や破綻が発覚した場合、USDTの価値は暴落する恐れが極めて低く、このようなリスクをカウンターパーティ・リスクと呼びます。
USDT(USDTether/テザー)の2022年現在のチャートと価格変動
USDTは価格変動が少ない仮想通貨ですが、実際のチャートはどのように推移しているのか、解説していきます。
2018年~2020年:大きな変動はなく110円前後をキープ
2018年〜2020年頃は特に大きな価格変動はなく、110円前後をキープし続けていました。

2021年1月:102円台を記録。以降価格は2022年5月現在に至るまで上昇中
2021年には一時的に102円と価格が下落しましたが、ペッグは外れていないので問題ないでしょう。
その後、2022年5月現在に至るまで価格はじりじりと上昇し続けています。
2022年3月:円安が加速し、20年ぶりの1ドル130円の大台に乗る
2022年3月頃から円安が加速し始め、20年ぶりに1ドル130円を付けました。
その結果、ドルと価格が連動するUSDTの価格も円ベースでは上昇し、USDTを保有しているだけで資産が増える減少も起こっています。
USDT(USDTether/テザー)の購入方法・買い方|どこで買うのか解説
USDTは国内取引所では購入できず、下記のステップで購入できます。
- 1.Coincheck(コインチェック)で無料口座開設をする
- 2.Coincheck(コインチェック)で日本円をビットコインに変換する
- 3.海外の仮想通貨取引所でUSDT(テザー)を購入する
1つずつ解説していきます。
1.Coincheck(コインチェック)で無料口座開設をする
まずは国内取引所で口座開設をしましょう。
国内取引所ではスマホアプリダウンロード数3年連続1位を誇るCoincheckがおすすめです。
初心者にも使いやすい設計になっており、仮想通貨を初めて購入する方でも迷わず購入できます。
口座開設にはメールアドレス・パスワードの設定をし、本人確認を済ませれば完了です。
本人確認はマイナンバーカードや免許証を提出しましょう。
2.Coincheck(コインチェック)で日本円をビットコインに変換する
Coincheckの口座開設を済ませたら、日本円を入金してビットコインを購入しましょう。
ビットコインではどの取引所でも取引されているので、この後行う海外取引所への送金にも使用しやすいメリットがあります。
Coincheckでビットコインを購入する際、販売所ではなく「取引所」での購入がコストを抑えて購入できるためおすすめです。
取引所での購入は、「ホーム」から「現物取引」に進み、レートや注文量を入力して「注文する」をクリックすると購入できます。
3.海外の仮想通貨取引所でUSDT(テザー)を購入する
Coincheckで購入したビットコインをUSDTが購入できる取引所で購入しましょう。
基本的に規模の大きい取引所であればUSDTを取り扱っており、BinanceやBybitなどが大手取引所に当たります。
Bybitは手数料がかかってしまいますがビットコインをUSDTへ両替することができ、初心者の方でも簡単にUSDTを保有できます。
USDT(テザー)の将来性は?話題の仮想通貨の価格動向や今後の上げ幅を考察
USDTはステーブルコインなので大きな利益は獲得しにくい通貨ですが、将来性は明るく、保有する価値があると言えます。
将来性が明るいと言える要因は下記の3つです。
- 2022年のドル円相場は1ドル134円程度が上限と予想されている
- スマートコントラクトの実装により信頼性・透明性が担保される
- muluti signature(マルチシグ)によるセキュリティ対策の強化が予定されている
1つずつ解説していきます。
2022年のドル円相場は1ドル134円程度が上限と予想されている
三井住友DSアセットマネジメントによると、2022年のドル円相場は1ドル134円程度が限界と予想しています。
日銀は円安が進んではいるものの、2022年5月時点で金融緩和姿勢を崩しておらず、来年以降、日銀は長期金利の上昇を抑え込む金融緩和策を柔軟化させる可能性が高いと考えてられています。
今後も日銀が現在の金融緩和策に固執し、政府が円安を食い止める成長戦略を見出さず、資源と円安の相乗効果で貿易赤字が起こると想定外の円安が進んでしまうと予想されているのです。
スマートコントラクトの実装により信頼性・透明性が担保される
USDTには今後スマートコントラクトの実装が発表されています。
スマートコントラクトは取引内容が改ざんできなくなるプログラムで、実装されると不正取引ができなくなり、中央集権化しているTether Limited社が取引を仲介する必要もなくなるでしょう。
中央集権化がなくなれば取引がより安い手数料で行える可能性があり、Tether Limited社によるミスも起こりづらくなります。

muluti signature(マルチシグ)によるセキュリティ対策の強化が予定されている
multi Signatureは仮想通貨を取引する際に必要なパスワードを複数作成して、複数のコンピュータに署名を分散させることでセキュリティを高める方式です。
Tetherのホワイトペーパーにはmulti Signatureを利用すると記載されており、実装されれば不正アクセスのリスクを下げられ、仮に資産を盗まれた場合でも取り返せる可能性もある機能です。
しかし、multi Signatureに対応する取引所は現状少なく、取引所間の移動を困難にさせてしまう懸念もあります。
USDT(USDTether/テザー)の価値を裏付ける米ドルを発行元のTether Limitedが保有していないことが問題視されている
USDTを発行するTether Limited社は以前から担保にする米ドルを保有していないのではないかと、NY司法当局などから問題視されています。
2021年には保有株式のわずかしか現金を保有しておらず、残りは無担保の短期債務でした。
それからTether Limited社には監査が2年ほど入り、「常にUSDTが1:1で担保されているのは虚偽だった」とされ、1850万ドルの支払いを受けて解決しています。
また、Tether Limited社がUSDTを発行するタイミングでビットコインの価格が上昇しているデータがあり、市場操作をしているのではないかとの疑惑も持たれています。
仮想通貨市場はUSDTをメインに取引されているので、USDTの価値が無価値であれば暴落し、仮想通貨市場全体に影響を及ぼすでしょう。
USDT(USDTether/テザー)に関してよくある質問
USDTに関してよくある質問をまとめました。
- Q.「日本円に換金せずに、USDT(テザー)に換金しても税金はかかるの?」
- Q.「日本円を直接USDT(USDTether/テザー)に変換できないの?」
1つずつ解説していきます。
Q.「日本円に換金せずに、USDT(テザー)に換金しても税金はかかるの?」
USDTの購入にはビットコインでUSDTを購入する手順を踏みますが、日本円に換金しなくても税金がかかります。
日本の仮想通貨税制は仮想通貨同士の交換によって利益が生じた際も課税対象になっているため、ビットコインからUSDTに変換したときに利益が出た状態なら税金がかかります。
国税庁のHPでも詳しく解説されているのでお読みください:https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/88/05/index.htm
Q.「日本円を直接USDT(USDTether/テザー)に変換できないの?」
日本円は直接USDTに変換できません。なぜなら、USDTは国内取引所では取り扱っておらず、日本円の入金ができない海外取引所でのみ取り扱っているからです。
ただ、BybitではクレジットカードでUSDTの購入ができるほか、今後日本円の対応が予定されています。
そのため、将来的には日本円を直接USDTに変換できるようになるでしょう。
USDT(USDTether/テザー)の買い方や将来性まとめ
USDTはステーブルコインの中でも時価総額がトップであり、多くの仮想通貨市場に広く流出している仮想通貨です。
疑惑はあるものの現在は担保の8割が米ドルですが、中身を見ると不安視される内容でもあります。ただ、ペッグはあまり外れていない状況が続いています。
購入するには海外取引所の利用が必要で、まずは国内取引所で口座開設をする必要があります。
口座開設は初心者の方でも使いやすいCoincheckがおすすめなので、口座開設しておきましょう。
- USDTは時価総額トップのステーブルコイン
- 発行するTether Limited社が提訴された問題がある。
- USDTの安全性が増すアップグレードが多く、将来性が明るい。

(監修者)内山 貴博 http://ufp.webin.jp/
ファイナンシャルプランナー(1級FP技能士、CFP®︎)、MBA(九州大学院経済学府 経営修士課程終了)、九州共立大学経済学部非常勤講師 証券会社に勤務後、2006年に独立。FP相談業務を中心に、セミナー、金融機関研修、FPや証券外務員の資格対策講座を担当。また、中小企業の経営者向けに経営と家計を融合したコンサルティングや、日本の生活やお金のことに疑問を抱える外国人向けのFP相談業務を開始。主な著書:「駆け出しFPの事件簿」「お金の使い方テク」。